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デザイナーベビーの現状は?科学者騒然「ゲノム編集」とは

 

『デザイナーベビー』

~はじめに~

神が人間を創造したと考えられていたのは過去の話

現在の生き物の姿は多くの偶然と環境、膨大な時の流れによる賜物である

しかし、その常識を逸脱して人類は今や生物を自在に形作る力を手に入れようとしている

【人が神に代わる時、生命の進化は「偶然」から「必然」に変わる】

 

 

デザイナーベビーとは

主に、選別された遺伝子を人為的に組み込み、思い通りにデザインされた赤児のことを指す。

遺伝子を選択して目や髪の色といった身体的特徴等を持つ子供の確率を上げる技術的アイデア

1990年代から受精卵の遺伝子操作は遺伝子疾病を回避する事を主目的に論じられてきたが、親の「より優れた子供を」「思い通りの子供を」という欲求に従い、外見的特長や、知力・体力に関する遺伝子操作も論じられるようになってきた。

 

 

~本題~

 デザイナーべビーを創れるほどの技術がこの世界にはあるのか。その疑問に応えるとするならば、答えはYESだ。

 既にデザイナーベビーを正確に生み出す技術は存在している。

 人類は今まで神秘だとされていた生命さえも、操作できるところにまで来ていたのだ。

 

では、気になるその驚きの技術

「ゲノム編集」に注目していこう↓

 

 ゲノム編集とは    

細胞内のDNAをクリスパーキャスナインによって改変する技術

細菌がクリスパーという特殊なDNA配列と、キャスという酵素を使い、ウイルスなどの侵入を防ぐ仕組みを利用したもの

キャスをはさみのように使い、遺伝子を正確な位置で切り編集する

安い!正確!簡単!三拍子そろった効率的な技術!!

ノーベル賞」確実だと言われる大発見

 

~開発者~

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ジェニファー・ダウドナ博士

米カリフォルニア大バークレー校教授

日本国際賞に選ばれる

2017年のノーベル賞を惜しくも逃すが、注目を集め続けている

 

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エマニュエル・シャルパンティエ博士

独マックス・プランク感染生物学研究所長

日本国際賞に選ばれる

ジェニファー博士と共同研究

 

 

クリスパーキャスナイン

・基礎となる塩基配列クリスパーは九州大学石野良純教授が発見した

・規則的なDNA配列を持つことが特徴

原核生物古細菌)が所要していたもの

・DNAを切断し、破壊する機能を持つ

ジェニファー博士達はこれに注目し、ゲノム編集という全く新しい遺伝子操作技術を生み出した。

 

 

デザイナーベビーは実現可能?
命の選別につながるという倫理的な問題から、実現の可能性は低い
 現在のところ、おおむね世界共通のスタンスとしてゲノム編集によるデザイナーベビーの誕生は超えてはならない一線だとみなされている。
 また、ゲノム編集が臨床応用されるなら、どこからがデザインでどこからが治療なのかという線引きが問題となってくる。例えば、身長を伸ばしたり、視力を良くするのはデザインに含まれるのか否かを判断するのは難しい。本人にとっては身長や視力の低さは病気だと主張する理屈はあり得る。受精卵に対するゲノム編集の結果は、それをほどこされて産まれた人自身の精子卵子にも引き継がれるので慎重になる必要がある。
 
 
 
 ゲノム編集で実現の可能なもの
HIVの治療
・卵アレルギー引き起こさない卵の開発
・筋肉量を増やした魚・肉の生成
・遺伝子疾患の治癒
・農作物の特定の栄養素を増やす
・受精能力を取り戻した精子の生成
・特定の病気の遺伝率の低下
・あるウイルスへの抵抗力・免疫力を高める

 

 

ゲノム編集の問題点
技術・倫理・法律の3つの壁
正確性が高いとはいえ、ゲノム編集は完璧ではない。
狙った遺伝子以外にも似た遺伝子があると、そこで誤って改変される恐れがある。
技術的にはシンプルで、研修を一定期間受ければ誰でもゲノム編集を行うことは可能だと言われている。
例えば、中国では既にそのような技術を習得する講座があり、ゲノム編集を用いた企業の設立を目指す者や研究者が集まっている。
特別難しい技能ではないので、博士は遺伝子編集を悪用する者が現れることを懸念している。
 
そこで、博士達は以下のような声明を出している
・臨床目的では自粛
・公開討論の場の設定
・技術の検証と開発を継続
・国際会議の開催
 
 
 
 
 最後に
「ゲノム編集」は人類の救世主となるのか、脅威となるのか。それは誰にも分からない。
農業・畜産業に応用すれば、より効率的に食料を確保することができる。つまり、世界人口が増加する中で課題となる「食糧問題」を解決できるポテンシャルが秘められているのだ。
媒体生物である蚊の遺伝子を操作すれば、ウイルスに感染しない蚊を生み出せる。
人間への応用にも、デザイナーベビーでは倫理的な問題があるが、医療分野では多くの可能性に期待できる。
しかし一方で、人は生き物を人類のためだけに勝手に操作して良いのかという問題や、生態系の崩れが示唆されている。また、組み込んだ遺伝子が何世紀先でも役立つものなのか、どのように作用するのかを予想することは不可能に近い。
 
 
 
 
 ~動画~

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